さくさく経理!

経理の効率化につながるお役立ち情報を記していきます

効率的な伝票並べ替え方法はバケットソート

こんにちは、さくさく経理!です。
前回は伝票の並べ替え手間を減らす話をしましたが、とはいえ並べ替えが必要なものも残ると思います。

今日は伝票並べ替え方法を計算機科学のアルゴリズムの観点から考えます。
計算機科学のソートアルゴリズムはたくさんありますが、実際に経理の方が行われるものは次の4つでしょう。

  1. 挿入ソート
  2. バケットソート
  3. マージソート
  4. クイックソート

順に解説していきます。
※現実に合わせるため厳密なアルゴリズムの説明とは異なります。

挿入ソート

挿入ソートは、並べ替え済の束に、どこに挿入すれば並びを崩さないか考えて、そこに挿入する方法です。

数枚の伝票を番号順に並べ替える時、意識しないまま自分の手元でこのようなやり方を行っていると思います。
1枚、2枚と1枚ずつ順番を考えて整理していくソート法です。

さて、このソート法でどれだけ時間が必要か考えてみましょう。

  1. どこに挿入したら良いか探す
  2. 発見した場所に挿入する

の2工程必要ですが、並べ替え対象枚数が多いほど1の工程に時間がかかります
並べ替え対象が多い場合、最も時間のかかる手法となります。

バケットソート

バケツソートとも呼ばれるバケットソートは、いくつかバケツを用意しておき、どのバケツに入れるべきか考えて、そこに投入する方法です。

例えば、支払伝票を支払先に応じてあ行、か行、、と分類したい場合、あ行のバケツ、か行のバケツと、あかさたなはまやらわで10個のバケツを用意しておき、各伝票を判別して、それぞれのバケツに投入していく手法です。

さて、このソート法でどれだけ時間が必要か考えてみましょう。

  1. どのバケツに投入したら良いか考える
  2. 検討したバケツに投入する

の2工程必要です。例で挙げた分類のように1の工程で行う判別が思考時間のかからないものであれば1の工程に要する時間は微量です。
2の工程もバケツの数が10個程度であれば、遠くのバケツまで移動する時間もかかりません。
言ってみれば分類するだけですから、最も速く整理できる手法となります。

マージソート

マージソートは、並べ替え済の複数の束を、並びを崩さないように統合する方法です。

番号順の場合は1から順にトランプの七並べをするイメージです。伝票の束を2分割して各自が挿入ソートで並べ替えしたものを、番号の小さいものから順に出していき統合します。
バケットソートで並べ替えしたものの場合、それぞれのバケツをまとめることで統合されます。

伝票並べ替えの担当者が1人だと使えませんが、複数いる場合は後でマージソートすることを考えて作業分散しましょう。

クイックソート

クイックソートは、伝票の束から特定条件の伝票を抜き出す方法です。

会計監査や税務調査で特定の伝票を抜き出したい場合、伝票番号など特定の条件を頭に入れて、該当するか瞬時に判断して次の伝票をめくる作業をされると思います。
あるいは、特定の支払先に対して支払明細書を作成する必要がある場合、伝票の束から特定の支払先に該当するか頭に入れて伝票を抜き出す作業をされると思います。

経理の現場で使用するクイックソートは並べ替えに使用するものではなく伝票の抜き出しに使用するものですが、このソート法の特徴は、特定条件がシンプルな限り最も速く処理できる手法です。

番号順に整理していた伝票を分類ごとの整理にすると伝票探索が発生しますが、クイックソート探す伝票の数が分かっているなら、必要数発見した時点で探索は終わります伝票数が不明の場合は、探す対象が少なくなるよう事前に分類しておくべきです。

後で苦労しないために番号順に並べ替える会社が多いと思いますが、分類が適切であれば意外にクイックソートによる探索は時間がかかりません。

まとめ

伝票整理は基本的にバケットソートで何らかの基準を設けて分類し、並べ替え担当が複数いればそれをマージソート挿入ソートは最小限に抑え、伝票を探す時はクイックソートする、ことが私のオススメです。

伝票は番号順に並び替える必要はない

こんにちは、さくさく経理です。

毎月伝票の並び替えに時間を取られている方も多いと思います。
会社によっては番号順に綺麗に穴あけファイリングすることを毎月の業務とされている所もありますが、
業務効率化が叫ばれる昨今、そこまで行わなければならないのでしょうか?

法人税法施行規則第59条(帳簿書類の整理保存)では次のようにあります。
青色申告法人は、次に掲げる帳簿書類を整理し、・・・保存しなければならない

法人税法施行規則 第59条 帳簿書類の整理保存 | 法令集

整理は必要ですが、番号順までは要求されていません!

Google検索によると、整理とは乱れた状態にあるものをかたづけて、秩序を整えることです。
番号順は秩序を整える一つの手段ですが、他の方法もあります。
伝票の種類ごとにまとめる、口座の種類ごとにまとめる、部署ごとにまとめる、など。
会計ソフトで起票者が分かるなら経理担当者ごとにまとめるのもアリでしょう。

まとめた伝票や証票類を番号順に並び替えるべきなのか?
その束が何百枚もあるならさらに何らかの秩序をもってグループ分けすべきですが、探す頻度が少ない書類は並び替える方が手間です。
この中のどこかに書類はあるという状態でさえあれば、上から順に見ていく形で探す時に多少苦労する運用が好ましいのではないでしょうか。

もちろん穴あけファイリングも必要ありません。
穴あけで閉じられていると会計監査や税務調査の対応で書類コピーするのも一手間です。
過去の書類はダンボール詰めで倉庫保管されている会社が多いでしょうから、
輪ゴムで留めたりクリアファイルに入れるなどした上でダンボール詰めするのが効率的です。

皆さんの会社で効率的な整理の仕方は何か、考えてみてください。
当社は伝票の種類ごとに月ごとにクリアファイルに入れたり、一部は穴あけファイリングしたものをダンボール詰めしています

 

証憑はなぜ必要か

こんにちは、さくさく経理です。

今日は経理に関わりが深い証憑(しょうひょう)について。
領収書や請求書、見積書など証憑の指す範囲は広いですがそもそもなぜ必要なのでしょうか。

1.取引の事実を立証するため

会計処理は事実に基づいて行われています。
その事実を立証するための証拠となるのが領収書や請求書などの証憑書類です。

2.内部統制のため

不正や誤りを起こさない仕組みとして重要です。
経費精算では領収書添付を義務付けることで、横領や二重払いを防ぐことに繋がります。
取引先への支払でも、請求印のある請求書原本添付を義務付けることで二重払いを防ぐことに繋がります。

3.法人税法会社法等で規定されているため

法人税法による保存期間は長いもので7年会社法による会計帳簿の保存期間は10年と定められています。

印紙税の節税策

こんにちは、さくさく経理です。

業務委託契約書を締結することはよくあることですが、
基本契約で4,000円、報酬額の記載のある契約だと何万円という印紙税が発生します。
印紙税は書類を作成するごとに発生するため、2通作成すれば2倍になります。
作成部数を1通にすれば節税できますが、そもそもなぜ契約書を作るのか

民法では口頭でも契約は成立しますが、契約書という書面で契約の内容を残しておくのが一般的です。
契約の当事者間で、契約内容に齟齬が無いよう、
また何か問題が発生した時の責任の所在などを明らかにしておく目的があります

では齟齬や問題が発生しない100%グループ間の取引では契約書を作成する必要はないのでしょうか?
金額の小さな単発取引では請求書のみのやり取りで済ませ契約書を作成しないことも一般的ですが、
金額の大きな取引で契約書が存在しないと税務調査でその取引金額が妥当だったのか、
寄付に当たるのではないか、などいらぬ詮索を受ける可能性があります

そこで1通契約書を作成し、一人が原本を、その他が控えを保持することとなります
契約書に次の文章を記載しましょう。
本契約成立の証として本書一通を作成し、甲が原本を、乙がその写しを保管する。

一般的には親会社が原本を保管しますが、
書類保管コストの関係から子会社側が原本保管する場合は甲乙を入れ替えてください。

もし契約の一方が買収されるなどして紛争時に備えるため原本がもう1通必要になった場合は、
原本保持者が原本証明を作成して交付すれば、原本と同等の効力のある書面を保持することができます。
ただし、原本証明を作成すると印紙も必要になります。

なお、第三者との契約では紛争時に備え、通常通り双方原本を保持すべきです。
印紙税節税のためには電子契約を導入すべきでしょう。

ちなみに、海外の会社との契約の場合は、契約書を海外で作成すれば印紙税は不要となります。
通常の双方が署名押印する契約書の場合、2人目が署名押印した時点が契約書の作成時点です。
先に自社が署名押印し、海外法人には後で署名押印してもらうようにしましょう。

外国で作成される契約書|国税庁

後の調査で疑義が発生しないよう、契約書上に作成場所を記載するとか、
先に当方が署名押印し、先方に書類送付し返送されたことが分かる文書を共に保管するなどすべきです。

Windows標準の電卓は便利

こんにちは、さくさく経理です。
経理の商売道具は電卓、ということでマイ電卓を業務に使用されている方も多いと思います。
その電卓、使うかもしれないということで毎回会議に持ち歩くのは邪魔になりますよね。

電卓の代わりにエクセルを使われる方もいると思いますが、
Windowsにも標準アプリとして電卓があり、なかなか便利です。

スタートボタン→すべてのアプリ→た行の中にある「電卓」で起動できます。

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電卓アプリ


エクセルでは数式結果が表示されるのみで、数式の中身はセルを選択するなど必要ですが、
電卓は数式の履歴が上部に表示されるため、誤りが無いか判別しやすいです。
キーボードによる入力もOKで、コピペも対応しているので
結果をそのまま別の資料に貼り付けることも出来ます。

なお普通の経理では使うことはありませんが、
メニューボタンをクリックすると関数電卓などに切り替えることも可能です。

これまで電卓を持ち歩いていたという方は是非一度使ってみてください。

税法における重要性の原則

こんにちは、さくさく経理です。

前回は会計における「重要性の原則」のお話をしましたが、税法でも同じような話があります。
法人税法基本通達2-2-15(消耗品費等)で規定しているように、
消耗品などの少額資産は取得した時の費用とすることが認められています。

ただしこれには下記の条件があります。
各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る

例えば今年は予算が余っているからたくさん購入しておこう、などといった処理は認められず脱税になってしまいます。
特に期末はそのような処理が行われがちですので、経理部門の方は入念にチェックする必要があります。
昨年も同程度の数量、金額か?1年程度で消費できる量か?といった視点で伝票チェックしましょう。

また消費税法においてもこれと同様の話があり、「物品切手の購入費用」で国税庁が回答しているように、
切手も継続して処理するなら購入時の費用として処理することが認められています。

企業会計原則の重要性の原則はよく使う

こんにちは、さくさく経理です。
前回は「企業会計原則」のお話をしましたが、「重要性の原則」もよく使用しますのでご紹介します。

重要性の原則」は「財務諸表利用者の判断を誤らせないものであれば、
重要性の乏しいものについては簡便な処理が認められている」というものです。

例えばボールペンを購入した場合、「発生主義の原則」に従う必要がありますから、
購入時は 貯蔵品/Cash という仕訳の後、使用時に 消耗品費/貯蔵品 と処理するのが正しいです。
しかし、金額の乏しいものについては簡便な処理として購入時に 消耗品費/Cash とすることができます。

他にも、従業員がなかなか経費精算の書類を提出せず、決算締めに間に合わないということもあるかと思います。
これも、重要性の乏しいものは財務諸表利用者の判断を誤らせないから、翌期の処理とすることも可能です。
ただし、重要性判定における金額規模や内容はそれぞれの法人の事業規模等に依りますのでご注意ください。